新型コロナウイルスと授乳について

新型コロナウイルスば猛威を振るいパンデミックな状況の中、授乳中のお母さまも感染しないか不安の中お過ごしと思います。

お母さまが感染しないように外出を控える、マスクをする、手洗いの励行、手指消毒等基本的なことを守り、万が一感染し陽性反応があった時の対応方法をいろいろな資料を掲載し参考にしてみてください

===== 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)情報 =====

新型コロナウイルス(COVID-19)と授乳について関連する、各団体・各機関の発表した資料、参考文献を掲載しています。翻訳は学術事業部によるものです。

● 日本小児科学会:新型コロナウイルス感染症に関するQ&A 2020年2月28日改定

http://ml.jpeds.or.jp/c/eTmwaakO5drVnfab

Q 母乳はやめておいた方がいいですか?
A: 母親が感染している場合は、接触や咳を介してお子さんが感染するリスクがありますので、直接の授乳は避ける必要があります。母乳自体の安全性については現時点では明らかではありませんが、中国からの報告では、感染した女性6名の母乳を調べたところウイルスは検出されなかったと報告されています。従って、母親が解熱し状態が安定していれば、手洗い等を行った上で搾乳により母乳を与えることは可能と思われます。

● 日本新生児生育医学会 2020年2月26日

新型コロナウイルス感染症に対する出生後早期の新生児への対応について
http://jsnhd.or.jp/pdf/20200226COVID-19.pdf

母乳の取り扱い・直接授乳について
母親が感染症状を呈している場合は、接触や飛沫を介して児が感染するリスクがあるので、現時点においては、直接授乳は避けることが望ましい。ただし、母乳はできるだけ搾乳し、児に与える(注:CDC引用) 。
日本産科婦人科学会からは、以下の推奨が出されている(注:日本産科婦人科学会、日本小児科学会引用)。 「コロナウイルス感染が確定し発熱を認める褥婦においては母体がウイルス血症となっていることが考えられ、授乳は控えるように指導する。解熱後3日までは感染力があると判断し、個室隔離、手洗い、接触のある物を次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)で拭き上げることを徹底する。授乳開始は解熱後4日目を目安とする。(ただし、今後の解明によって上記の日にちは変更されうる)」
しかし、CDCは母乳を搾乳で与えることを推奨し、母親の十分な飛沫・接触感染対策 を行えば、直接授乳も可能としている。新型コロナウイルス感染に関連した母乳の情報は現時点でない。そのため、今後の知見やデータにより改訂する必要がある。
現時点で、いつから直接授乳のための母子接触が可能かの明確な基準はなく設けることはできないが、母親の症状が消失し、感染のリスクが低くなったと判断された時から行うことを勧める。

● ラ・レーチェ・リーグ・インターナショナルのメディア・リリース(米国ノースカロライナ州)2020年2月19日

Continuing to Nurse Your Baby Through Coronavirus (2019-nCoV;COVID-19) and Other Respiratory Infections
https://www.llli.org/coronavirus/
ラ・レーチェ・リーグ国際エリアネットワーク(IAN)のサイトに多言語の訳が載っています。
https://lalecheleague-ian.weebly.com/coronavirus-and-breastfeeding

● CDC 2020年2月19日

COVID-19が確認された、もしくは検査中の母親に対する母乳育児の暫定的なガイダンス
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/specific-groups/pregnancy-guidance-breastfeeding.html
Page last reviewed: February 19, 2020

この暫定的なガイダンスは、COVID-19感染が確認された、もしくはCOVID-19の検査中で、現在授乳中の女性に対するものである。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/clinical-criteria.html
この暫定的なガイダンスは、COVID-19および他のウイルス性呼吸器感染症の伝染に関する現在の知見に基づく。CDCはこの暫定的なガイダンスを、追加情報が入手出来次第、必要に応じて更新する予定である。出産直後の母乳育児に関するガイダンスは以下を参照のこと。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/inpatient-obstetric-healthcare-guidance.html

COVID-19の経母乳感染
COVID-19がどのように感染拡大するかはほとんど知られていない。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/about/transmission.html
ヒトからヒトへの感染は主に飛沫感染で、感染者が咳やくしゃみを行うことで生じ、これはインフルエンザや他の呼吸器の病原体と同様である。COVID-19やもうひとつのコロナウイルス感染である重症急性呼吸器症候群(SARS-CoV)における限られた研究では、このウイルスは母乳中には検出されていない。しかしながら、COVID-19に感染した母親が母乳を通じてウイルスを感染させ得るかどうかは不明である。

他の感染性疾患に対するCDC母乳育児ガイダンス
母乳は多くの疾患に対して予防効果がある。稀にではあるが、母乳育児や搾母乳を与えることが推奨されない場合がある。
https://www.cdc.gov/breastfeeding/breastfeeding-special-circumstances/contraindications-to-breastfeeding.html
CDCはSARS-CoVや中東呼吸器症候群(MERS-CoV)のような類似のウイルスに感染中の母乳育児について特化したガイダンスを行っていない。

出産直後を除いて、CDCは、インフルエンザに感染中の母親に対し、ウイルスを児に感染させないための予防措置を行った上で、母乳育児および搾母乳を乳児に与え続けることを推奨している。
https://www.cdc.gov/breastfeeding/breastfeeding-special-circumstances/maternal-or-infant-illnesses/influenza.html

COVID-19が確認された、もしくは検査中の母親に対する母乳育児のガイダンス
母乳はほとんどの乳児にとって最良の栄養源である。しかしながら、COVID-19に関しては不明なことが多い。母乳育児を始めるか、もしくは続けるかどうか、また、その方法については、家族や保健医療の提供者と話し合って、母親が決めるべきである。COVID-19が確認された母親や症状を呈しているCOVID-19検査中の母親は、児にウイルスを感染させないために、すべての可能な予防措置を講じるべきである。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/guidance-prevent-spread.html
それは、児に触る前には手を洗う、可能ならば授乳中にはマスクをするなどである。手動および電動の搾乳機で搾乳をする場合、母親はポンプやボトルの部品を触る前に手を洗うべきで、使用後は推奨に従い適切にポンプを洗浄すべきである。
https://www.cdc.gov/healthywater/hygiene/healthychildcare/infantfeeding/breastpump.html
可能であれば、健康な人に搾母乳を与えてもらうことを考慮する。

● CDC 2020年2月18日

産科入院施設におけるCOVID-19の感染予防とコントロールに関する暫定的検討事項
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/inpatient-obstetric-healthcare-guidance.html
Page last reviewed: February 18, 2020

以下に述べる感染予防とコントロールに関する考察事項は、COVID-19が確認された、もしくは検査中の妊娠中の患者に対して、入院での産科ケアを提供する保健医療施設のためのものである。入院での産科ケアには、産科トリアージ、分娩、回復、産後ケアが含まれる。
この情報は、感染コントロールについてのCDCの暫定的ガイダンス(より広範囲のもの)を適用するときに、病院や臨床家の助けになるように作成された。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-nCoV/hcp/infection-control.html

<中略>

入院中
<略>

母子接触
COVID-19に感染した新生児に重症合併症のリスクが高いかどうかは不明である。感染性の呼吸器分泌物に接触することによる出生後の感染が懸念される。母親から新生児へのCOVID-19感染リスクを下げるために、COVID-19が確認されているかもしくは検査中の母親に対して、医療施設は一時的な母子分離(例えば母子別室にする)を検討する。これは母親の感染経路別予防策が終了するまでとする。感染経路別予防策は、「COVID-19感染入院患者の配置に関する検討事項」に記載されている。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/disposition-hospitalized-patients.html

一時的な分離に関しては以下を検討する

  • 一時的に母子分離することのリスクと利点を保健医療ケアのチームが母親と話し合う。
  • 母親と児が検査中である間は、児は母親と別の隔離室を使用する。健康な親や養育者を除き、医療施設は面会制限を考慮する。面会者に、PPE(個人用防護具)すなわち、ガウン、手袋、マスク、ゴーグルの適切な着用方法について教える。健康な家族やスタッフがいて、新生児のオムツ交換や沐浴などを行ったり栄養を与えたりする場合は、適切なPPEを用いる。健康な家族の場合、適切なPPEはガウン、手袋、マスク、ゴーグルである。保健医療を提供するスタッフの場合の適切なPPEについては、「感染予防とコントロールの推奨」に概略が述べられている。
    https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-nCoV/hcp/infection-control.html
  • 一時的な母子分離を終了する決定は、臨床医、感染予防とコントロールの専門家、公衆衛生の担当者に相談した上で、ケースバイケースで行う。COVID-19の重症度、疾患兆候や症状、原因ウイルスであるSARS-CoV-2の検査結果を考慮して決定する。一時的な分離を解除する場合の検討事項も、COVID-19感染入院患者の感染経路別予防策の中止の場合のものと同じである。「COVID-19感染入院患者の配置に関する検討事項」を参照のこと。
    https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/disposition-hospitalized-patients.html
  • 新生児が発症中の母親と同室(母子同室)となることが、母の希望や施設の状況で避けられない場合は、COVID-19の原因ウイルスの児への暴露を減じる手段の施行を考慮する。

    ・・物理的にコントロールすることを考慮する。物理的障壁(例えば母と児の間のカーテンなど)、児と発症中の母を6フィート(訳注 約1.8メートル)以上離しておく。

    ・・その部屋で児の世話をするための他の健康な成人がいない場合は、COVID-19が確認されたか検査中の母親がマスクをし、授乳や児との接触の前に手指衛生(1)を行う。マスクは児との接触の間は装着するようにする。これらの実践は母が保健医療施設で感染経路別予防策を受けている間中、続ける。

母乳育児

  • 一時的な分離の間、母乳育児希望の母は、母乳産生の確立と維持のために搾乳することが奨励される。可能であれば、高性能の搾乳器が与えられるべきである。搾乳に先立ち、母親は手指衛生を行う。(1)毎回の搾乳終了ごとに乳汁に触れたすべての部品は徹底的に洗浄し、ポンプ全体は器機の説明書に従い、適切に消毒する。搾母乳は健康な養育者が与える。
  • 母子同室を行っていて、母が直接授乳を希望する場合、母はマスクを着用し、授乳ごとに手指衛生を行うべきである。

退院

  • 退院時点でCOVID-19の原因ウイルスの検査結果を待っている児や検査が陰性の児のために、乳児の世話をする人は児への感染リスクを減らすよう、「自宅や居住する地域でCOVID-19の蔓延を防ぐための暫定的なガイダンス」に従うことも含め、手順を踏むようにする。
    https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/guidance-prevent-spread.html

脚注
(1)手指衛生は、アルコール含量60%から95%の手指消毒剤の使用を含み、以下の場合に行う。すべての患者との接触の前後、潜在的な感染物質との接触の前後、手袋を含む個人防護具(PPE)の着衣前と脱衣後。手指衛生は20秒以上の石鹸と水でも洗浄でもよい。手指が目に見えて汚染された場合、石鹸と水による洗浄を行ってからアルコール含有手指消毒剤を用いる。

● UNCEF Coronavirus disease (COVID-19): What parents should know

日付がないが2月15日にはすでにアップ
https://www.unicef.org/stories/novel-coronavirus-outbreak-what-parents-should-know
https://www.facebook.com/BonyuikujiNoPolitics/posts/1234912933385232

問: コロナウイルスに感染したお母さんが母乳を与えても大丈夫ですか?

答:ウイルスが蔓延している地域やリスクのある地域に住んでいて、発熱、咳、呼吸困難のあるすべてのお母さんは、早く医療機関にかかって、医師からの指示に従いましょう。
母乳育児の利点と、他の呼吸器疾患を起こすウイルスの感染が母乳経由で起こることはほとんどないことから、感染したお母さんは必要な予防策を行いながら、母乳育児を続けることができます。
症状があっても授乳できるくらい元気なお母さんは、子どもの側にいるときは(授乳中を含め)マスクをつけ、子どもに触れる前後(授乳するときも含みます)は手を洗いましょう。そして汚染された表面はきれいにし、除菌しましょう。これはCOVID-19に感染していることが確認された人、および疑いのある人だれでもが、子どもを含む他の人と接触する場合に行うべきことです。
お母さんの具合が悪くて授乳できない場合は、上記の感染予防策を行いながら、搾乳して清潔なカップやスプーンで子どもに与えるようにしましょう。

● 日本小児科学会 新型コロナウイルス感染症に関するQ&A 2020年2月14日

http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?
content_id=326&fbclid=IwAR3u_cHWPbONqLeU_CVKh6PbmczuaMi1-fzk-PcSncmzOn24Ea2jQXMtW3o

母親が感染している場合は、接触や咳を介してお子さんが感染するリスクがありますので、直接の授乳は避ける必要があります。母乳自体の安全性については現時点では不明ですが、日本産科婦人科学会からは以下のように授乳を避けるよう推奨が出されています。
(上記の日本産科婦人科学会の情報が記載されている)

● Lancet 2020年2月12日

Clinical characteristics and intrauterine vertical transmission potential of COVID-19 infection in nine pregnant women: a retrospective review of medical records
Published Online February 12, 2020
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30360-3/fulltext

COVID-19肺炎の妊娠女性9例の報告 6例で羊水、臍帯血、初回授乳後の母乳、新生児の咽頭ぬぐい液をチェック すべてウイルス陰性

● 日本産科婦人科学会 妊婦・産褥婦の新型コロナウイルスの感染予防対策について 2020年2月6日

http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20200206_coronavirus.pdf

コロナウイルス感染が確定し発熱を認める褥婦においては母体がウイルス血症となっていることが考えられ、授乳は控えるように指導する。解熱後3日までは感染力があると判断し、個室隔離、手洗い、接触のある物を次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)で拭き上げることを徹底する。授乳開始は解熱後4日目を目安とする。ただし、今後の解明によって上記の日にちは変更されうる。

● WHO暫定ガイドライン 2020年2月6日

Home care for patients with suspected novel coronavirus (2019-nCoV) infection presenting
with mild symptoms and management of contacts:Interim guidance
https://www.who.int/publications-detail/home-care-for-patients-
with-suspected-novel-coronavirus-(ncov)-infection-presenting-with-mild-symptoms-and-management-of-contacts

3ページのPDFがダウンロードできますが、2ページ目の欄外に下記の記載があります。

授乳中の母親については例外を考慮してもいいかもしれない。母乳育児の利点と、他の呼吸器疾患を起こすウイルスの感染が母乳経由で起こることはほとんどないことから、感染した母親は母乳育児を継続することができるだろう。感染した母親が乳児の側にいるときは医療用マスクを着用し、乳児に接触する場合にはその前後で手指衛生を行う。母親は、この文書に書かれている他の衛生手段の適応も必要であろう。

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// 左のウィンドウからアイテムをドラッグして
// ここにドロップするか、マウスの右ボタン
// でポップアップ メニューを出して「スクリプト
// に挿入」を選択して、現在のカーソル位置に
// コードを挿入します。
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document.write(‘最終改訂: ‘.fontsize(2), document.lastModified.fontsize(2));
document.write( “
\n” );
document.write(‘このサイトの著作権はJALCにあります。引用の場合はお知らせください。’.fontsize(2));
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\n” );
document.write(‘Copyright ©特定非営利活動法人 日本ラクテーション・コンサルタント協会(JALC) All rights reserved.’.fontsize(2));

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初版:2020年2月25日作成
最終改訂: 02/29/2020 18:11:08
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